加藤陽子「それでも日本人は『戦争』を選んだ」と「戦争の日本近現代史」

 小飼弾さんのレビュー

404 Blog Not Found:それを選んでしまわぬために - 書評 - それでも、日本人は「戦争」を選んだ

をみて興味を持っていたら、内田樹さんまでレビュー

http://president.jp.reuters.com/article/2009/11/04/909E82C8-C1F7-11DE-9919-08BA3E99CD51.php

していたので、これはと「それでも日本人は『戦争』を選んだ」を読んでみたところ、ことのほか面白く色々考えさせられたので「戦争の日本近現代史」にも手をつけてみました。

 加藤陽子さんがそのあとがきで丸谷才一さんの言葉を引用していたのがとても印象的でした。

戦争責任について容易に論ずれば、『誠実を装った感傷主義か、鈍感な愚かしさか、それとも威張り散らした居直りか」になってしまうと喝破したのは丸谷才一氏でしがた(『雁のたより』)

(「この一文を読んだだけで丸谷才一さんの知性は尋常じゃないと鳥肌が立ちました。一生に一度でもこんな言葉を吐けたらどんなに幸せかと思います。)

感傷主義でも居直りでもない戦争責任を論ずるために、現代の視点からみたら愚かにしか感じられない選択も、当時の人々にはある種の合理性が感じられたこと、当時の人々が何を考えて戦争に向かっていったかを丁寧に教えてくれます。

 戦争被害者についての視点がない、当時の軍部の理論を正当化している、などの感想を述べているかたもいましたが、あくまでこの本は当時の人々が何を考えていたことを知ることが目的です。それを知った上でどう生かすかは読者次第なのです。

 この二冊を読んでいたら、どの時点までならあの敗戦を避けられたのかなとか、純軍事学的視点だけで日本の独立だけを優先して国際関係を考えると、こんなにも独善的な結論になってしまうのかとか、色々考えさせられました。この考えさせられるというのが大事なのかなと思います。読んでみて損はない本だと思いますのでおすすめします。