著作権

大西 宏のマーケティング・エッセンス : 「のまネコ問題」は、avexがそういう会社だということ

 こういう問題を見るたびに、著作権に関する考え方が成熟してないんだなと悲しくなります。音楽の著作権保護を訴えて、コピーコントロールCDとかを出しているavexにしてからがこういう態度を取っている訳ですから・・・。

 著作権法に詳しくないので確かなことは言えませんが、私は著作権というものをこう理解しています。

 小説のプロットや楽曲のメロディーなどは形の無いものですが、小説家や作曲家が魂を削るようにして作り出しているものだから、形あるものと同じくその生産物として考え、コピーされたりパクられたりしないように所有権を明確に保護する。そうすることによってアーティストの利益を保護して素晴らしい作品が世に出てくるようにするというものだと思ってました。

 私は小説を読みます。推理小説を読みます。推理小説におけるトリックも作家が苦労して作り上げた生産物です。だからある名作といえる小説のアイデアが、某有名推理漫画に盗作された時もとても悲しかったです。形の無いものですが泥棒と同じだと思いました。大事な物を土足で踏みにじられたように感じました。

 音楽だって同じです。アーティストが作り出した歌詞やメロディーは生産物です。だから盗作は泥棒と同じだし、違法コピーも泥棒だと考えていました。だからavexがコピーコントロールCDを出すことについても、アーティストを保護するためには致し方ないことだなと考えていました。

 それなのに、それなのにですよ、その著作権保護を訴えているavexがこういうことをしてしまいますかねー。非常に悲しいです。日本の著作権法著作権を主張している者を保護するものらしいので、不特定多数の間で自然発生的に生まれたものは著作者がはっきりしないので保護していないようです。みんなでわいわい大事に遊んでいたものを(私は2ちゃんねるにはさほど詳しくないので、モナーがどういう扱いを受けていたかは知りませんが、まとめサイトを見る限り2ちゃんねらーは大事にしていたようです)、やった者勝ちで著作権を主張してしまうなんて、泥棒と同じです。

 著作権は著作した人を保護するものでしょう?著作していないのに著作してしたと言い張る人を保護してしまうとしたら、それは著作権法の本来の主旨と違うと思うのです。この行為は法律的に問題が無いようです。ですが法律的に問題が無いから良い、だれも損をしているわけではないから良いという問題ではないのです。

 著作してもいない物に対して著作権を主張するような行為、泥棒的な行為を法が制限していないとしたら、違法ではない=正しいことだと言うことではなく、ただ単に法に不備があるというだけです。だとしたら、法がキチンと整備されるように行動していくべきだと私は思っています。

 今回の件は2ちゃんねるアスキーアートに関する著作権に関する問題です。2ちゃんねるに関心のない人にとってはどうでも良いことなのかもしれません。ですが、著作権法にこういった不備があると言うことは、これからクリエイティブな職につこうとしている人たちの製作活動に支障をきたすということです。クリエイターの生産活動に支障が出ると言うことは、その生産物たる作品を楽しみたいと考えている人たち、たとえば小説や漫画の読者や音楽などを楽しむであろう人たち全体に影響を与えることだと思っています。

 だからどうしたいという結論が私の中で出ているわけではないのですが、こういった泥棒行為が行われていること、著作権法に不備があることを私の知人たちには知って欲しかったので長々と書いてしまいました。とての悲しいことだと思いませんか?一人でも私の知人にそう思っていただければこの文章を書いた意味があるのでうれしいです。