トラックバック考

トラックバックをめぐる4つの文化圏の文化衝突――「言及なしトラックバック」はなぜ問題になるのか[絵文録ことのは]2006/01/06

 表題だけみると仰々しいですが、中身はとても整理されていて分かりやすいです。私はブログをはじめてからそんなにたっていません。トラックバックをしたことも数回しかないし、されたことは0回な人なのですが、これを読んでトラックバックというものが少し分かった気がします。

 わたしはこの文化圏のくくりでいうと、「言及リンク文化圏」です。なぜ「言及リンク文化圏」かと言いますと、私は相手先の日記や論文によって触発されて文章をかいたりしたときにトラックバックを使っているからです。

 その書き手の文章に触発されて文章を書いてるので、その相手の人の文章を参照できるようにしておかないと、私のブログの読者に意味が通じません。だからリンクをつける訳です。でもそうすると今度は無断で一方通行の道を作ったことになりますから、文章を引用したことを相手に伝えたくなります。

 そうしないと相手の文章に対して疑問を持って、私はこう思うなー的な文章を書いたときには相手の反論を封じていて卑怯な気がします。逆に相手の文章に関心して文章を書いたときには、その人に通知しないと無断でアイデアをぱくったような気がして落ち着きません。

 しかし今回「絵文録ことのは」さんの文章を読んで、トラックバックに対する考え方は、この文化圏のものだけでは無いと知ることが出来ました。ネットの世界は広いのでいろんな考えの人がいて、いろんなトラックバックに対する考え方があることが分かって楽しいです。

 他の文化圏について考えてみると、まず「ご挨拶文化圏」については私もブログ初心者なので感覚的に分かります。トラックバックされたら嬉しいでしょう。スパムは論外です。

 「関連仲間文化圏」についても存在を初めて知りました。異文化遭遇です。でもなんとなくこの文化圏の人たちの感覚も分かります。信オンブログは信オンブログ同士で交流したいし、革新ブログは革新ブログ同士でわいわいやりたい気持ちもあります。ただ、いきなり何の脈絡もリンクもなく信オンブログだからとトラックバックをされたら少し戸惑うかもしれません。ただ、「ご挨拶文化圏」と「関連仲間文化圏」の人とは、なんとなく気持ちが分かるのでトラブルことなくうまくやれると思います。

 ただ、ネット上をうろうろしてみると、結構各文化圏間で論争に発展していて面白いです。それぞれ前提や温度に違いがあるので、最初は議論が噛み合っていなかったり、何考えてるのかお互いにわかっていなかったりしていたようですが、徐々に論理的な人たちがそれぞれの文化圏の立ち位置を定義したりして、整理していってるのを見るとわくわくします。

 論争の内容を見ると、「言及リンク文化圏」の人たちと「関連仲間文化圏」の人たちの間に温度差があると感じました。

 「言及リンク文化圏」のひとは自分の文章にプライドを持って何らかの価値を見出している人が多い気がします。そして議論好き?記事が論文的で、相手の文章に触発されて文章を書いたときには正々堂々と議論するために、相手に挑戦状を叩きつけるみたいにトラックバックを打っています。まるで宣戦布告か中世騎士の決闘のときの白い手袋みたいな使い方をしていてなんだか微笑ましいです。

 「関連仲間文化圏」のひとは、私もこの番組について書いたよー的な繋がりとして送っているので、トラックバックに対する温度差がかなりあります。まあ原理的には「言及リンク文化圏」が筋が通っているのでしょうが、「関連仲間文化圏」内でやりあっている分には何の問題もないのだよなと思います。

 ただ、そのトラックバックが「言及リンク文化圏」の人のところに行くと、単なるスパムなわけで、異文化衝突になってしまいます。私の考えでは、この異文化衝突が、互いに互いの考え方、前提を知らないで、互いに何気なくトラックバックをしてしまって衝突が起こる場合は悲しいことだと思います。それを避けるためにいろんな文化圏があることの周知が必要だと考えます。

 ただし、この論争が活発に行われたことで、相手側の考え方もだいぶ知ることが出来るようになったと思います。あとは相手の考えを分かった上での行動ですので、進んで衝突をして議論をどんどんしていくのも、相手の文化に合わせた対応をするのも各人の責任になると思います。

 私個人の対応としては、「言及リンク文化圏」の考え方で行動し、スパムは削除、関連仲間系のトラックバックは削除しないという事になると思います。

 ネットの世界も広くて多様性があって面白いなと感じます。この文化衝突がどういう風に結合したり化学変化を起こしたりするのか楽しみです。行く先を観察し続けたいなと思います。