事態の矮小化?一般化が常に正しいとは限らない。

 「都」が「公務員」に業務命令を出したのに従わなかった。その行動は生徒たちに悪影響を与える。

という意見が散見されます。この論の人たちはあえて、事態を矮小化しすぎているんじゃないかなと思います。確かに一般的には組織の命令に従わない場合処分されても仕方のないことですが、今回のケースはちょっと違う扱いをしなくてはならないと思います。

 「行政機関」が「教育者」に(憲法違反にあたる)業務命令を出したのに従わなかった。それをみて生徒がどう思うかはその生徒の考え方次第。

なのだと思います。

 ではまずなぜ「教育者」は特殊なのかといえば、これは戦前に教育者が「不当な支配」によって軍国主義者生産マシーンと化してしまった歴史があるからです。なので今の教育基本法は「不当な支配の排除」が明文化されているわけです。その他の一般的な組織とは分けて考える必要があると思われます。

 次に「行政機関」について。憲法は公権力行使の限界を定めた法ですので、憲法違反の業務命令自体が無効なのだと思います。

 そして生徒の受け取り方ですが、憲法違反の業務命令に従う教師を見るのと、憲法違反の業務命令に抵抗する教師の行動を見るのとで、どちらが生徒にとって良い行動かは一概に言えるものではないでしょう。生徒の価値観次第です。悪影響を与えるだけではないと思います。良い経験を積んだともいえるでしょう。

 この問題は一般的な業務命令に従わなかった組織人としての考え方とはわけで考える事例だと思います。あえて事態を矮小化しようとしているのか、自然に考えてそうなのかは分かりませんが、一般化が常に正しいとは限らないということだと思います。

追記

http://d.hatena.ne.jp/kmizusawa/20060923/p1さんで「国旗掲揚、国歌斉唱に関する諸外国の判例・事例」が紹介されていました。アメリカには国旗を踏みつける表現の自由があるのですね。イギリスでは学校行事では掲揚も斉唱もしない模様です。以外でした。